内容:彼女はいわゆる、職業訓練校出身の中卒。一般的に職業訓練校は『職歴』に入り、『学歴』とはならないのである。最終学歴が『中学校卒業』。そんな劣等感を感じながら、彼女はずっと生きてきた。「当時、職業訓練校に美容科みたいのもあったので、そこに行こうと結構すぐに決めちゃいましたね。正直、家が裕福ではなかったので、すぐに身になることが必要だったんですよ。しかも高卒になると思っていたんで、あまり悩まなかったんですよ」卒業後、とある美容室に就職。18才のときだった。そんな若いだけの彼女に、八つ当たってくる、イヤな女性の先輩がいた。その先輩が彼女を罵るときはいつも“この中卒!"というものだった。そこで彼女は自分の本当の学歴に気付いた。「自分的には結構、衝撃的でしたね(笑)。もう笑うしかないというか。正直、そんなに学歴が関係のある仕事ではないんですけどね。なんかショックだったんですね」 以来、それは彼女のコンプレックスとなった。言われる度に傷ついて、それに対して異常なほどにこだわるようになってしまった。 「とにかく専門を出た人とかには負けたくなくて、ずっと意識してやってきましたね」 そして23才の頃、彼女は自らの店をオープンすることとなる。もちろん異例の出世といえるだろう。それはやはり、彼女の向上心と学歴コンプレックスによるもだと思う。 しかし、そのように必死になってオープンした店も現在、閉店の危機に瀕している。不景気という時代背景にプラスして、最寄り駅に出来た有名チェーン店。もう頑張りだけでは限界がきていた。「私はずっと、頑張れば絶対に認められて、好きなことを続けていけると思っていました。実際にそういう風にして、お店を出せたし。でも、現実ってそんなに甘くないんです。結局はどんなに安くお客様にサービスを提供しても、チェーン店のようには安くできませんから。結局、ウチの客もみんなそっちに行っちゃいますよね」と笑いながら彼女は言った。まぁ、出演理由は言わなくても分かるだろう。しかし、不景気の時代と散々言われている現代、その影響はこちらの業界にも影響を及ぼしている。もちろん出演料も、バブル時代と同じなどということはない。そんなことは分かってるというような顔をしながら、彼女はこう言った。「それはもちろん知ってます。私もそこまでバカじゃないんで。でも、中卒の私に何が出来るか?って考えたときに、やっぱり何もないんですよね。コレしかやってこなかったから……。脱ぐだけなら、誰でもできるし…てん」僕はそれから、何も聞けなくなってしまった。