内容:そこにいるだけで自然と周囲が明るく和やかな雰囲気に包まれる。彼女はそんなタイプの女性だった。少しはにかんだ屈託の無い笑顔が愛らしく、喋り方も快活で、話している方まで自然と楽しくなってくるような温かい存在。ほんの少し話をしただけで、私は彼女の笑顔に引き込まれていた。彼女の名前は「りーこ」、年齢は24歳だが、実際に話をしてみるともっとずっと若い印象を受ける。普段は焼肉屋でアルバイトをしており、持ち前の明るさで店の看板娘として人気が高い。実際、彼女が店にいる日は店内が活気に溢れ賑やかで、逆にいない日には「今日はあの娘いないの?」と他の店員が聞かれる程である。それくらい彼女の存在は大きく、皆がその笑顔の下に自然と集まっていった。彼女はとても好奇心旺盛で、休日を家でのんびり過ごす事は殆ど無いという。「じっとしているのが性に合わない」とは本人の談で、少しでも興味を持ったことには自ら積極的に飛び込んでいった。良く言えば「フットワークが軽い」、悪く言えば「無鉄砲」。その為、彼女と近しい人間は、彼女の向こう見ずで突発的な行動にヒヤリとさせられることも少なくなかったが、皆一様に彼女を憎めず、それどころか、そんな彼女の破天荒ともとれるような性格を(その失敗も含め)愛してやまないのであった。当然の事ながら彼女はモテた。それは年齢職業を問わず、彼女に言い寄ってくる男性は後を絶たない。店のお客さん、店の従業員、趣味で入っているダンスサークルのメンバー、学生時代の同窓生、時には見ず知らずの男性から突然交際を迫られることもあった。そして彼女は、その内の何人かと実際に付き合い、他の何人かとは身体だけの関係を持った。彼女は性欲こそ人並みだったが、セックスという行為はとても好きだった。自分以外の誰かと繋がり、特別な時間を共有する喜び。互いに求め合い、悦びを分かち合う。もちろん行為自体に伴う快楽も甘美で彼女の性的欲求を満たしてくれるのだが、同時に、相手との淫猥で背徳的な関係を築くことも彼女の好奇心に充足感を与えてくれるのだった。彼女は自分の欲求にとても素直で偽ることをしない。少女の様に無邪気で可愛らしい姿を見せたかと思えば、次の瞬間には男を誘うように淫らに腰をくねらせる。それらはどちらも彼女の偽りの無い姿で、男達はその様に惹かれ魅了されてしまうのだ。そして、私も例に洩れず彼女の魅力に引きつけられ、快楽の海に溺れることになるのだった……。