内容:……彼女を知らない?人間国宝とも謳われたあの女のことを?それならばお教えしましょう。彼女と、彼女の伝説……。彼女の名前は沙織、またの名を「香り・かおる・沙織」。彼女には、奇跡とも呼べる体質が備わっていた。それは、身体から放たれる匂い。といっても、汗臭さのようなマイナスのイメージのものではない。むしろ、人を引き付ける、一種のフェロモンのようなものである。その香りは異性ににとどまらず、同性をも引き付け、幼少の頃から、彼女を取り巻く多くの人間から愛されていた。そんな沙織が、後に伝説として永く語り継がれる事件に遭遇したのは、彼女が15才……高校生の時である。彼女が虜にする男の中には、既に恋仲の異性を持つものも含まれる。当然、彼氏を奪われた女は沙織に恨みを持つ。当時そういった、彼女に恨みを持つ女性たちが数名集まり、彼女の襲撃を企てた。予め体育館裏に彼女を呼び出した後、モップや竹刀など、各々武器を持ち、怨恨に取り憑かれた少女たちもそこへ向かう。そこでそのあと起こった出来事を、一体誰が予想出来ただろうか。沙織を襲おうとしていた少女たちは、彼女の前に立ち塞がるや否や、誰一人例外なく武器を捨て、恍惚の表情を浮かべ彼女の前にひざまづいたのだ。体育館裏という、空気の循環が悪い空間に、数分間彼女がとどまった結果、彼女の放つ香りが、周囲に立ち込めていたのだ。結局、彼女を襲おうとしていた者たちは、その出来事がまるで嘘のように、翌日から彼女の追っかけへと変貌したのである。そんな誰もが羨むような体質を持っていながら、彼女は悩んでいた。毎日のように大勢の人間に押しかけられるのは、嬉しいことではあるが心身の疲労が激しい。それにこのままでは、いつまで経っても、本当に好きな人と、二人だけの時間を過ごすことは困難である。せめて、なにかこの体質を、自分のために活かすことは出来ないだろうか。考えた結果、彼女が辿り着いた選択、それが、今回のようなAVの仕事である。そのフェロモンさえあれば、大方の男性は彼女に好意を抱き、気持ちよくエッチが出来る。それは男優も例外ではない。そのお陰で、何もしなくともその手の仕事の話が舞い込んできたりする。未だに本気の恋が出来ないのは悩みの種だが、今のプチセレブな生活もまんざらではないと思い、奇跡の天然フレグランス女「香り・かおる・沙織」は、今日もエッチな仕事を求め、街を彷徨う……。