内容:今から数年前。福岡在住の彼女は東京に憧れていた。高校の時に行った修学旅行。活気に満ちた街。お洒落な若者達。日が暮れると煌々と光り始めるネオン。何処までも続くビル群。その時の情景が忘れられず彼女にとって憧れの対象となった。いつかは東京で暮らしたい。そう思うようになっていた。高校を卒業後、彼女は上京資金を貯める為フリーターへと転身した。某大手コンビニエンスストアのレジの仕事だ。そんなに大変な仕事ではないだろうと軽い気持ちで始めたが、やってみると仕事量が多くてびっくりしたと言う。そのコンビニは高校が近くて学生が頻繁に来ていたそうだ。病院も周りに沢山あるので、処方箋待ちの方もよく来店した。小児科にも近く、子供が店内で嘔吐して片付けに追われることもよくあった。また覚える事も多く色々と大変だったが、唯一の救いだったのが職場の人間関係が良い事だ。特に半年先に入ったという男の子が、困っている時にいつも気付いて助けてくれた。次第に彼女は彼に対して好意を持つようになっていた。そして、それから1年。彼女の貯金は百万円近く貯まっていた。「これだけあればもう十分!!」とバイトの時間を減らし、しょっちゅう東京へと出向いては就職活動をしていた。だが、なかなか思うようにいかない。今の所、15社受けて全て全滅だ。福岡と東京の往復でお金もどんどん減っていき、精神的にも追い詰められていった。そんなある日。バイト先の彼に、「そんな顔してどうしたの?最近バイトにもあまり来ないし・・・」と心配そうに言われた。接客業という事もあり元気を装っていたつもりだったが、彼には隠せなかったようだ。「なんでもない」そう彼女が返すと、「今夜飲みに行かない?」と誘われたそうだ。そしてその夜。彼女は酔っ払った勢いもあって、東京での就職の事、さらには彼に対する淡い恋心までをも話してしまった。すると彼は優しく抱きしめて、「俺が付いてるから、大丈夫」と耳元でささやいた。そして彼もいずれ東京に行くと言う。そうして2人の仲は急接近したそうだ。それ以降彼も協力し、面接の練習や、職場探しもするようになった。その甲斐もあり、彼女はついに内定を勝ち取ったのだった。面接を受けるようになってから、44社目の事だ。都内にある、小さな商社の事務員だった。不満が無いと言えば嘘になるが、今はこれで十分だ。しかし、ひとつ問題があった。就職活動にお金を使ってしまい、百万円もあった貯金がほとんど無くなっていた。お金が必要だけど、彼にはこれ以上の迷惑はかけれない。そう思い悩んでいたときスカウトマンにスカウトされたそうだ。悩んだ末に、彼女は新生活の為、出演を決断したのだった。