内容:「はじめましてー!!」とか挨拶してみたけど、実ははじめましてじゃない。彼女は30分前に出会ったと思っているが、じつはそうじゃない。初めて彼女を見たのは5年ほど前になる。まだ学生だった彼女。学生服を来て、毎日颯爽と自転車で坂を下り、駅まで走る。慌てて電車に乗り込み、席に座っても周りをキョロキョロ見渡し、お年寄りがいれば席を譲る。そんな優しい子。夕方になり学校帰りにアルバイト先へ行き、可愛い笑顔で接客をする。たまにいいよってくる感じの男性もいたみたいだが、彼女はけっしてそれに乗ったりはしない。きちんと断り家路につく。家に帰り部屋の電気が消えるのはいつもきまって夜中の12時。そして朝を向かえ、同じ日々を繰り返す。そんな彼女を5年間見てきて一番辛かったこと。そう、彼女に彼氏ができた時。楽しそうに笑い、楽しそうに手を繋ぎ、彼女の家にまで入り、夜が近くなると電気が消える…。彼氏が許せなかった。だから、彼女に彼氏ができるたびに、彼氏と仲良くなりあることないこと吹き込み別れさせる。それを繰り返していた。僕は自信がなかった。だから今まで彼女に話かけることすらできなかった。いろんな人と話し、いろんな場所へ行き、いろんな女性といやらしい事をし、ようやく自信がついた僕が彼女の前に立った時、純粋だったあの頃の彼女の面影は消え、「Hがしたい。気持ち良くなりたい。相手なんて誰でもいい。気持ちよくしてくれるならなんだっていい。」そんな事を笑いながら話す彼女になってしまっていた…。