内容:はるかはアクセサリーが好きだ。それはもう小さい頃から光り物が好きで、キラキラしたガラスや石を集めたり、おまけについてくるアクセサリーが目当てで駄菓子を親にねだったりしていた。一つ一つを大切に宝石箱にしまっておいてあるので、自室は宝石箱だらけである。以前、彼女のご近所に15歳くらい年上のお兄さんが住んでいた。はるかの父とそのお兄さんの父親が同じ職場という理由で、赤ん坊のころからお兄さんに遊んでもらっていた。はるかはお兄さんのことが好きだった。彼女がまだ小学校低学年の頃、お兄さんは手作りのアクセサリーをくれた。お兄さんは趣味でよくアクセサリーを作っていると言っていたが、もらうのはそれが最初で最後だった。鮮やかな赤色のガラスがトップに光っているネックレスだ。はるかはそれにベヘリットという名をつけた。それから間もなくして、お兄さんは遠くへ引っ越してしまった。はるかの父が言うには、お兄さんの父親が転勤になったので一家で引っ越したということだった。はるかはそれ以来、光り物を収集する癖がついた。最初は、もしまたお兄さんに逢えたらこの綺麗な石を渡そう、とか、もしかしたらここに売られているアクセサリーはお兄さんが作ったのかもしれない、などと思いながら集めていた。遠くへ行ってしまったお兄さんへの執着がだんだんと薄れていってもアクセサリーへの興味は薄れず、高校を卒業してからすぐアクセサリー屋で働くことにした。割と高額なものも買うようになっていったが、先日20万円のネックレスを衝動買いしてしまい、生活費がギリギリという事態に陥ってしまった。そのため、今回の撮影の話もすんなりと決まった。報酬を受け取った彼女は、また新しいアクセサリーを買いに行くのだろう。