内容:らんは夏が好きだ。夏になると素敵な出来事が沢山起こるからだ。毎年毎年、彼女の夏は最高の思い出となり、今の彼女を形作る礎となるのだ。梅雨が明け、夏の匂いが香る6月末、照り返す日差しの中、今日も彼女は最高の笑顔で素敵な出来事を探していた・・・。夏の素敵な思い出が初めて出来たのは高校生の頃、部活動の夏合宿のことだった。高校に入って初めての夏休み、夏の開放感が少し彼女の背中を押してくれた。汗をかきながら部活に熱中している先輩の背中を見て、彼女は心ときめかせていた。今日こそ、今日こそは先輩に告白しよう。そう胸に誓いながら。そして練習は終わり、夜の自由時間に彼女は決断した。先輩が一人になる瞬間を待ち、勇気を出して声をかけた。「センパイ・・・」。やぁ!と爽やかに振り返るセンパイ。それだけでもう胸がはち切れんばかりに躍動していた。入学してから今までずっと思ってきた憧れの人、その人を前にして冷静で居られるわけがなかった。「あの・・・その・・、」とモジモジした態度で言葉が上手く出てこない。センパイは不思議な顔をして、それでも優しい笑顔で彼女の言葉を待ってくれた。そして辛うじて紡ぎだした言葉が「すきです。」だった。センパイはあっけにとられた表情をしたが、一瞬で優しい笑顔に戻り、「ありがとう。僕も好きだよ。」と言ってくれた。初めて勇気をだして、初めての彼氏が出来た・・・。とても暑い、それでいて爽やかな夏の夜だった。20歳になった今でも、あの日の思い出は大切に心にしまっている。こうしてエッチが大好きになって、不特定多数の男性と経験を持ち、あまつさえアダルトビデオに出演することに疑問を感じなくなった今でも忘れない。彼女はあのときのまま変わっていない、ただ素敵な思い出が他の「何か」にになっただけだ。なんでこうなってしまったんだろう・・・。